東京日和。18回目のつれづれ。
私は時々、遠くへ行く。
昔、娘がまだ小さい頃は、一緒に深夜バスに乗って、東京駅で降り、
手をつなぎながら早朝散歩をしたものです。
昔大好きだった映画(東京日和)から、東京駅の佇まいが、私は大好きでした。
離婚して逆に少し自由になった私は、時々この街を離れたくて、
ただ一人ともいえる気の使わない友人宅へお邪魔したり、
娘と宿に泊まって旅行気分を楽しむことがありました。
いつの頃からか、娘も大きくなってからは一緒に着いてこなくなり。
それに伴って中々足が遠のいて、家と職場の往復の毎日のみになっていました。
けれど去年と今年の私は、一人で悠々と心を休めに、逃げるように東京へ行きました。
友人宅にお泊りさせてもらい、彼女のご家族と過ごす日々は、
少しの緊張と、心から笑える瞬間と、中学からの彼女との気の置けない語らいで、
私の心を癒してくれます。
仕事を辞めてから、(というかその前からか)ゾンビのような顔で
毎日鏡をみるのも嫌なくらい。そのうち鏡も見なくなったり。
会社に行かなくなると、白髪も染めなくなって、本当に、もうね。
眼鏡とマスクという防御があれば、自分を知らない人に会うのはまだ平気。
そんな感じでした。
でも会社を辞めた後に、どうしても観たかった舞台を観に行くために訪れた時。
せっかく観に行くのに、私の頭は相変わらずなのです。
友人と街をぶらっとしていた時、ふと髪の話になり、
「そうそう、白髪隠し持ってきてんねんけどね。舞台の日は一応スプレーしていく」
「そうなんや。でもそれなら、うちでちゃんと染めてもええし、むしろ今日とかお店で
染めちゃえば」
って提案してもらい、急にお思いたち髪を染めに何か月ぶりかの美容院へ。
本当は2か月に1度染めてもらわないといけないぐらいだったのに、
ずっと放置していたので結構なものでした。もちろん髪の毛もぼさぼさ。
友人はその間ひたすら待ってくれていて、待たせている申し訳なさと
有難さとで一杯になりながら、二人で美容院を出た時の
あのすがすがしさが忘れられないです。
顔は相変わらずゾンビです。
でも、髪の毛がさっぱりするだけでこんなにも気分が違うのか。
少しだけ、生まれ変わった気分でした。
その後二人で、中学の頃のようにキャッキャしながら、
化粧品コーナーに行ったりして。
すこしづつ。すこしづつ。気持ちが取り戻されていく。
まだ若く、気力も体力の有った頃にはもう戻れないから、もう無理はしないでいこう。
ほんまに、ちょっとづつ前にね、あたしらは進んできたんやね。
もうちょっとだけ、ぼちぼちいこか。
彼女とのお話は、また別の機会に。
拙い文章を、最後まで読んで下さった方、どうも有り難うございました。
またいつか、お会いできる日まで。